チェロの力学

第5章 ウルフキラー (Wolfkiller) の振動計測 

★ウルフキラーの振動計測方法

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ウルフキラーの振動の模型

 

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ウルフキラーの振動計測方法

ウルフキラーは、上のアニメーションのように、空中で振動しています。この振動の様子を計測するには、何所か安定して止まっているような場所(ベース)が必要です。 その位置は、チェロの胴(表板)でも良いと考えらけますが、胴(表板)自身も結構大きく振動していますので、そこをベースとしたのではウルフキラー自身の振動が正確に計測できないと考えられるため、多少 演奏の音量・音質に影響があるかも知れないが、駒(Bridge)をベースとしてウルフキラー自身の振動を計測するジグを作りました。

ウルフキラーテールピースの振動計測は、こちらでご紹介している フォトセンサー  を使用することとしました。

その状態を下の写真に示します。

駒足部にベースのクランプ部をネジで取り付けます。 ベースの上に  ウルフキラー  や  テールピース  の振動を検知する  フォトセンサー  を、位置が移動できるように取り付けています。 ウルフキラーには紙製のターゲットを貼り付けてあります。 テールピースにも、木製の軽いターゲットをクランプで固定してあります。


ウルフキラー振動計測 フォトセンサー

テールピース振動計測 フォトセンサー

上の2つの写真のように、フォトセンサーの発光ダイオードから出た光軸の半分程度が隠れる位置にターゲットを置きます。 この状態でウルフキラーテールピースが振動すると、フォトセンサーのフォトトランジスターから 、ウルフキラーテールピースの振動の振動数と強さに従った信号が出力されます。

フォトセンサーからの信号は、下に示した フォトセンサーアンプ を経由して、波形記録装置に入力します。

 

実際に弾いている音も同時に記録するために、駒の足部に、 ダイナミックピックアップ をクリップ留めしてあります。

 

波形記録装置は、2チャンネル(ステレオ)のデジタルオーディオレコーダーを用いました。 Lチャンネルに フォトセンサーアンプ からの信号を、Rチャンネルにダイナミックピックアップの信号、入力し、同時に波形を記録します。

 

この様な状態で チェロを実際に弾くと、 フォトセンサーアンプ ダイナミックピックアップ から電気信号が出力され、波形記録装置で記録されます。

 

波形記録装置の出力を光デジタルケーブルでパソコンに接続し、それぞれの信号を、 音の波形  として Adobie Audition 2.0 で記録し、 振動の強さ   振動数  を調べます。

 録音はこちらの機材を使用し ています。

 

以上が、ウルフキラーの振動計測装置の概要と計測方法です。

 

下の 表5  SOUND アイコン  をクリックして、記録された信号を として聴いてみて下さい。 最低音の C から、第4ポジションの g まで弾いています。

Lチャンネル (表示画面 の 上段) はウルフキラーの 振動波形を、Rチャンネル (表示画面 の 下段) は実際に弾いている演奏音です。

 

表5 記録信号の例

Cello 記録信号  Adobie Audition 2.0 表示画面の例
Kreuzinger
"Hiroki"

以上の、ウルフキラーの振動計測装置によって、チェロに取り付けたウルフキラーが、実際の演奏時に、どの音の時、どのように振動しているか・・・が、信号として計測できるようになりました。

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いよいよ、次章では、ウルフキラー (Wolfkiller) の振動 の様子を分析して、本当にウルフをとめる働きをしているか・・・を 確認してみます。


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Updated:2008/5/23