ギターボディー 振動の力学 (5)

 第5章 異なるギターでも同じ現象は起こる

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 前章で は 弦の振動波形 に含まれる 周波数成分 の一部も 消えてしまう  と言う、ちょっと謎めいた現象 も説明しました。

 

お聴きください


ここで、ここまでに説明してきた現象や実験データをまとめて見ましょう。

 

但し、1台のギターのみで、断定的なことは言えない・・・とおもいますので、参考として、もう1台のデータを、その前に示しておきます。

こちらの、 叩けば分かる 共振周波数・・・  のところで、事例とた、 GR-KIT-W のデータを示します。

  GR-KIT-W

このギターは、Dreadnought タイプのギターで、手作りキットから組立てた物です。 トップ、サイド、バックなどは、合板の楽器ですので、常識的には高級ギターとはいえませんが、

 MTS   をインストール済みですので、ピッチは正確です。  また、今回、このテーマでの検討で、Dreadnought タイプギターは如何いう特性を示すのか・・・と言う疑問には、十分にその目的は果たしてくれるギターです。

音程と周波数の対比

このギターの表板Top)  共振周波数は、 113 Hz   226 Hz   447 Hz   517 Hz  と計測されました。

実際は、もっと上の周波数も有りますが、省略します。

 

このギターの#6弦の  E2  から、1弦の#12フレットの  E5  までの音を弾いた時の、 音の波形 を下に示しています。

この をクリックすると、お聴き頂けます。

良く聴いていただければ、 A2  や  A#2  の音、 A3  や  A#3  の音は、詰まった感じの余韻

になっていることが分かります。

この結果からもお分かり頂けるように、表板Top) の 共振周波数 の一番低いものは、 113 Hz  で、その音程は、 A2  と  A#2  の中間、

また、2次の共振周波数 は 226 Hz  で、その音程は、 A3  と  A#3  の中間に有ります。

 

この値と、上の 音の波形 で、大きなレベルの音になっている音は、 ぴったり一致している  事が分かります。


当初から検討してきたこのギターのデータも整理しておきましょう。 

 Yamaha  LS36

音程と周波数の対比

このギターの表板Top)  共振周波数は、 107 Hz   205 Hz   371 Hz   441 Hz  と計測されました。

実際は、もっと上の周波数も有りますが、省略します。

 

このギターの#6弦の  E2  から、1弦の#12フレットの  E5  までの音を弾いた時の、 音の波形 を下に示しています。

この をクリックすると、お聴き頂けます。

良く聴いていただければ、 G#2  と  A2  の音、 G3 G#3  や  A3  の音は、詰まった感じの余韻

になっていることが分かります。

この結果からもお分かり頂けるように、表板Top) の 共振周波数 の一番低いものは、 107 Hz  で、その音程は、 G#2  付近に、

また、2次の共振周波数 は 205 Hz  で、その音程は、 G#3  付近に有ります。

 

このギターの場合も、上の 音の波形 で、大きなレベルの音になっている音は、 ぴったり一致している  事が分かります。


 ここまで説明してきた現象のまとめ

表板(Top) を叩いた時にでる音の周波数分析から得られたピークの振動数と、

実際にギターから出ている 特に大きな音 の振動数は、ほぼ一致していることが分か った。
 


しかし、

特に大きな音 では、余韻部分  周波数成分 の中には、直ぐに消えてしまうものがあり、

詰まった感じの余韻 になってしまう。

すなわち、音色が損なわれてしまっている と言うことにもなりかねません。
 

 

大きな音が出る事が分かったのに、音色が損なわれてしまっている・・・のは何故なんでしょうか。

次章では、ギターの共振現象に迫り、音色が損なわれてしまっている原因の追求などに進みます。


この続きは、続き(6) をご覧下さい

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ギターボディー 振動の力学 続き(6)

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Updated:2007/2/1