横浜市 小西哲和様 バイオリンの製作記録


小西哲和様から、こんな素晴らしいメッセージを頂きました。

前略、

お待たせ致しました。バイオリン製作過程の写真をおとどけします。
中略

ところで、家内が同伴して娘の先生に伺った際、製作したバイオリンを見ていただく機会ががありました。先生自ら試奏して頂けたようで、使ってもかまわないとのお許しがでました。ただし、娘に癖をつけないためなツボをあわせたほうが良いとのことです。テールピースの交換、駒と魂柱の調整もアドバイスされました。

いずれにしても、先生からお許しがでたおかげで、半信半疑だった娘も今は使う気持ちになってくれております。彼女はジュニア・オーケストラのメンバーで、5月の連休前後にかけてメキシコへ親善演奏旅行に出かけることになっております。
私としては自作のバイオリンが娘の晴れ舞台で演奏されるのをこの上ない楽しみにしています。

早々


小西様からお寄せ頂いた製作過程の写真と紹介文です。写真をクリックしてください。大きな写真がご覧頂けます。

96年12月1日キットが到着。

工具類を買って、翌日から製作開始。

マニュアルに従って、先ずエンドピン用の穴をあけ、全体を一通りサンドペーパーで磨いたあと表面板の接着に取り掛かる。バスバーは接着済みだったので助かった。
ニカワの濃さ加減がわからない。一度目は濃すぎて失敗。直ちに剥がしてやり直し。

トップ・ブロックとエンド・ブロックの部分以外は、ボルトとナットに大き目のワッシャーをはめてクランプの代わりに使用。

いざ、締め付けてゆくと数が足りない。木切れと大量の輪ゴムてクランプの代用品を作成する。インターネットでクレモナ・バイオリンスクールの写真を見ると、びっしりクランピングしている。接着不良を心配したが結果的にはうまくいった。

パーフリングとサドルの取り付けを終わらせたあと、ボディーにネック取り付け用の切り込みを入れる。
ネックの上下方向の角度、左右の振れ、弦長が狂わないように注意しながら緊張する作業。写真では金槌を持っているが、殆どの作業は金槌なしで彫り込んでいった。
パーフリングは雑巾で湿らせてから曲げるようにしたが一個所折ってしまった。

右奥にあるギターは加納木魂氏作の「木霊」という名のついたもの。

いよいよネックとボディーをニカワで接着。ここで狂いが出ては楽器にならない。この接着が 組立作業全体で最も緊張した箇所。

結果
ナットから表面板との接点まで・・・・130mm
表面板から指板の裏までの距離・・・・・6mm
(ボディーとネックの接点で)
指板先端の表面板からの距離・・・・・20mm
ナットから駒まで(弦長)・・・・・・・・・328mm

ホワイトバイオリンがほぼ完成。

早く弦を張って音を聞いてみたい。

魂柱を立てようとするが、なかなかうまくゆかない。失敗すること十数回、ボディーの中をころがりまわる魂柱を取り出すにも一苦労する。
写真は、魂柱が垂直に立っているかエンドピンの穴から確かめているところ。

製作開始から一週間。部品も取り付けてホワイトバイオリンが完成。

弦はドミナントのナイロン弦、あご当ては黒檀製に交換。

試奏した娘(小6)から、「半信半疑だったけど、思ったよりいい音。ニス塗りもがんばって」と激励の言葉。

指板の仮接着を剥がし、細部をサンドペーパーで磨く。

写真はペグボックスの中をヤスリで磨いているところ。

明日からニス塗りを開始するのでホワイトバイオリンの見納め。

孔から表面板の接着前に貼ったシールが見える。

娘に因んで for NAOKO とプリントし署名した。

ニス塗りの準備中。

今削っているのはキリの柄を半分切り取ったもの。エンドピースの穴に通し、これを軸にしてバイオリンを回転させながらニスを塗る。

アイデアはインターネットで見た写真から頂いたものだが、なかなか効果的で重宝した。

ステインを塗り終え乾燥中。

キットの表面板にあったニカワの跡が浮かび上がり気になるが、組み立てれば殆ど指板に隠れる場所でほっとする。

約2週間後。着色ニスを数回塗った。

娘の希望で余り濃く着色しない。

結局ベースニスからカバーニスまでサンドペーパーで磨きながら合計20回ほど塗った。

完成。製作開始から約2ヶ月。

指板の先端で計って E 線が 3mm弱、G 線が 5mm弱になるよう駒を調整。

持ち運んだり演奏するとき以外は、ニスが乾くまで数ヶ月間吊るしておく。



孔からサインが見える

以上が、横浜市の小西様からお寄せ頂いた、製作記録です。このホームページでご紹介しておりますバイオリン製作キットは、初めての方でも容易に本物のバイオリンを製作して頂けるものです。是非多くの方々にバイオリン製作の楽しさを味わって頂きたいと考えております。

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工房ミネハラ
Mineo Harada

Updated:2000/4/15