首都圏の「O さん」 バイオリンキット V-Kit-1製作報告
’99年2月始めから製作を始められた 首都圏の「O さん」から、4月始めに、ホワイトバイオリン完成。年末の12月にニス塗り完成とのご連絡を頂きました。
また、これから始めようとする方々にも、大変に参考になる手作り道具類の情報を頂きましたので、ご紹介します。
工房ミネハラ
原田峰雄様遅くなりましたが写真を(多分明日)郵送致します。写真には添付ファイルのようなコメントを付けておきますのでご参照下さい。写真に番号をつけて対比できるようにしておきます。写真は8枚有りますが役に立つものをお選びください。中略
首都圏の「O さん」からお寄せ頂いたメモからは、いろいろなアイディアが頂けますので、是非ご参考にして下さい。
キャリパーの製作:
板厚測定は手製のキャリパー(?)で行いました。材質は桂の板材と細いラミンの丸棒です。
隙間ゲージと組み合わせて使います。
スクレーパーの代用品:
OLFAの丸い替え刃SKS-7径60に厚紙でカバーをつけてスクレーパーの代わりに使いました。表板・裏板の凹面の整形には大変役立ちました。
板厚とタッピングトーン:
バスバー接着後の表板のタッピングトーンについては、最も卓越しているのはd1(295Hz)付近の音でしたが、f(175.4Hz)付近やg1(393.8Hz)付近も聞こえるので、文献に書いてあるEとかFとかいうのが何を指しているのか分からなくなりました。
板厚は最初は一番分厚い所(f字孔の下端近くの中心線上)で5.3ミリもあり、これを不揃いを修正する程度に削っただけでしたが、d1というのが気になったのでこれ以上音程を調整することはせずこの件は疑問として残しました。(だめなら後でまた削る覚悟でした。)
その代わり板厚の分布については音響工学的な見地から(偉そうな言い方ですみません)周辺部を極力薄く仕上げるよう努力し、ほぼ3ミリ程度に揃えました。周辺部以外は3.8ミリ以上4.5ミリ以下の範囲ですが、板上の長手方向(木目の方向)の特定の位置で反射を起こさないよう僅かな凹凸も残さないように仕上げました。このためには指先の感覚で凹凸を判断するのが最も鋭敏で有効でした。ラベルの印刷:
ラベルは短冊用の一見和紙風の紙にプリントしサインペンで署名しました。
バブルジェット方式のプリンターを使ったのですが経年変化の点からはレーザープリンターにするべきだったかも知れません。
クランプの製作:
クランプは3種類用意しましたが、表板の接着の時は主に直径30ミリのラミンの丸棒から切り出して作ったクランプを使いました。
木端の保護のためにボルトに飴ゴムのチューブを被せました。クッション材にはどのクランプもコルクを使いました。
表・裏板の周辺部の曲面:
パフリング埋め込み後の彫り込みの時にはパフリングが硬いために刃物のガイド役を果たしてくれて有りがたかった反面で、サンドペーパー作業の時には板材との硬度の違いのためにペーパーの利きが異なりパフリングが浮き出したような仕上がりになり易く苦労しました。
これらの作業をしているうちに、この部分の凹曲面の反り具合で曲面全体が上品になったり安っぽい感じになったりするような気がしてきて気を使いました。ホワイトバイオリンの完成後の今でもまだ一部手直ししたくなっています。
渦巻きの仕上げ:
普段使っている遠近両用眼鏡(バリラックス)で見ていると渦巻きの左右の対称の判断が狂うので苦労しました。度が進む前の古い老眼鏡で見るしかありませんでした。これはネックと胴の芯出しなどでも同様です。
実物の参照:
細部の寸法などについては自分の楽器を参考にしました。例えばナットの部分の高さなどは説明書に書いてある「弦高」の意味がどこを指しているのか分からなかったので、現物を参考にしました。
指板の仮付け方法:
指板の仮付けには極めて薄い両面粘着テープを使いました。これで気軽に着脱でき大いに助かりました。
ネック・アングル・ゲージの製作:
ネック・アングル・ゲージはキャリパーを作った残材の桂の板に厚紙のゲージを貼り付けて作りそれを両面粘着テープで指板に貼って使いました。ゲージ部が厚紙ですから板に傷がつかず低すぎる場合も曲がって逃げてくれるので調子よく使えます。
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指板、ナット、サドルは、グレードアップパーツの黒檀製が付いていますすばらしいホワイトバイオリンが出来てきています。完成が待ち遠しいですね。
ニス塗りは上手く行っているでしょうか ?
このたび、完成のご連絡を頂きました。('99/12)
工房ミネハラ
原田峰雄様永らくご無沙汰しました。今日でやっと調整を一段落させました。
美術工芸的には不備だらけですが、これも手作りのご愛嬌と言ったところでしょうか。
ケースがないのでオブジェとして壁に飾ってあります。楽器としてはなかなか味わいの深い鳴りっぷりです。レスポンスも速くて弾きやすく仕上がりました。音によるボリュームのむらも少ないほうです。全体に雑音が少なく綺麗に鳴ります。慾を言えばE線がもっと派手に鳴ると嬉しいのですが。そのうちにドミナントの中古弦に替えて見るつもりです。
小生はどうやら病みつきになりまして、11月からバイオリン作りの先生に弟子入りしました。現在裏板の製作中です。原田さんにはすっかりお世話になりました。ご親切にして頂いて本当に有難うございました。これからも宜しくお願いします。
首都圏の「O さん」 次の作品も是非お便りをお寄せ下さい。お待ちしております。 有難う御座いました。
このホームページでご紹介しておりますバイオリン製作キットは、初めての方でも容易に本物のバイオリンを製作して頂けるものです。是非多くの方々にバイオリン製作の楽しさを味わって頂きたいと考えております。
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工房ミネハラ
Mineo Harada
Updated:2000/4/15