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チェロの力学
ティータイム です チェロの表板と裏板を叩いてみました |
すぐ、また、ブレークタイムです。
その間に、工房ミネハラにある4台のチェロの表板と裏板をを叩いて見ましたので、ご覧下さい。
音のファイルも有りますので、是非お聴きください。
叩いた場所は、裏板 4ケ所、 表板 4ケ所で、それぞれ4回叩いています。。 叩いた順番と位置は次のとおりです。
■裏板のセンターバウツ(くびれた部分)の両端近く 右A部 左A部
、アッパーバウツの中央部B 、ロァーバウツの中央部C
■表板のセンターバウツ(くびれた部分)の両端近く 右A部 左A部
、アッパーバウツの指板のすぐわきB 、ロァーバウツのテールピースのすぐわきC
以上の6ヶ所です。
音のファイルは、この順番で上の写真のように、8個所、それぞれ4回叩いています。
録音の始めに、音程を比較できるように、音叉の、A音(440Hz)が少し録音されています。
それでは、お聴きください。 手が滑って、均一に叩けてないところはご容赦下さい。
叩いたときの音程の違いを、凡そ下記のようにまとめて見ました。
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裏板 |
表板 |
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右A部 |
右A部 |
B |
C |
右A部 |
左A部 |
B |
C |
★ドイツ製
1986年製
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F# |
F# |
A |
A |
F# |
F# |
A? |
A? |
★チェロ A 1991年製 |
F#-G |
F#-G |
A |
A |
F# & A |
F# & A |
A? |
A? |
★チェロ B 新作 |
E |
E |
G |
G |
E |
E |
G |
G |
★チェロ C 新作 |
F# |
F# |
G#-A |
G#-A |
F# |
F# |
G#-A |
G#-A |
チェロによって、少しずつ違いがありました。
次に、上の表の、色の付いている部分の、一発目の音だけを、拡大して調べて見ました。
★ドイツ製 1986年製
裏板 右A部
綺麗な振動波形で、余韻も長く続いている。 振動数は、約180Hz (F#に近い)
裏板 B部
綺麗な振動波形で、余韻も長く続いている。 振動数は、約220Hz (A)
この楽器は、大変よく鳴る楽器ですが、ウルフトーンが強く出ます。
★チェロ A 1991年製
余韻も比較的長く続いている。 振動数は、約190Hz (F#とGの中間)
この楽器も、大変よく鳴る楽器ですが、ウルフトーンが強く出ます。
★チェロ B 新作
余韻は余り長く続かない。(減衰は大きい) 振動数は、約160Hz (Eに近い)
この楽器は、まだセットアップしてないので、ウルフトーンについては未だ分からない。 ただし、同一ロット品は、比較的よく鳴る楽器。
★チェロ C 新作
余韻は、まずまず長く、綺麗な波形。(減衰は比較的小さい) 振動数は、約180Hz (F#に近い)
結構良く鳴る楽器。ウルフトーンは、F#音に出る。
まとめ
■裏板 A部、 表板 A部 からは、かなり確かな音程感のある音が出ます。 楽器によって、その音の周波数は少し違いますが、概ね、F#音ないしは、その近くの上下の振動数です。
■叩いた時の音が、澄んでいて、振動が長続きする(減衰が少ない)楽器の方が、多分良く鳴る楽器でしょう。 しかし、反面、狼 ウルフトーンも強く出ます。
(注) ドイツ製 1986年製 は、
Kreuzinger
ですが、私の 1988年のメモには、裏板 A部 のタップトーン(叩いた時の音)は、F音 という記録が残っています。 10数年の間に、若干その音が高くなったことが分かります。 これは、10数年という、楽器にとっては短い時間ですが、その間に木の性質が変化し、減衰が減って、半音程度高い周波数の音にかわった物と考えられます。 事実、当時より、今の方がずっと弾きやすく、よく鳴るようになりました。
さて、貴方のチェロは、この8ヶ所からどんな音が聞こえますか??? (弦は振動しないように、抑えて叩いて下さい)
次回は、レスポンスの良い楽器にまつわりつく、狼 ウルフトーンの問題に近づいて行きます。 ご期待ください。
ウルフトーンは、この、叩いて出た音との関係が大変重要となります。
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工房ミネハラ
Mineo Harada
Updated:2008/5/23
First Updated:2000/7/11
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