
カールヘフナーチェロ製作キット (CK-1)
ニス塗り:バイオリンのニス塗りにも共通します。(ニス塗りの手引きもご覧下さい)
ニス塗りに先立って接着されている指板を外します。カッタナイフを差し込んでお湯を筆で流し込んで接着を外します。
ニス塗りの時、持つところを始めに作っておく事が大切です。エンドピンにテーパーの棒を差し込んで、そこを持つのが良いでしょう。(下のニスを塗っている写真を参考にして下さい)
また、始めは、ネックはニスを塗りませんので、その部分を紐で縛って、吊るして乾燥させると良いでしょう。このニスセットは速乾性のアルコールニスです。ストラディバリもアルコールニスを使っていたと言う話が有ります。 下地塗り(Grundlack)、着色塗り(Farbluck)、上塗り(Uberzuglack)の3種類のニスが有ります。
ニスに加えるレジンやオイル
アルコールニスは乾燥が速く簡単に塗れますが、比較的硬いニスなので後でひび割れなどが発生する危険も有ります。 そこで、ニスに弾力性や柔軟性や光沢性を持たせるために様々な天然のレジン(樹脂)、揮発性オイルやバルサムが用いられます。これがニスの秘密とも言えるもとです。 ここでは、画材店などで求められる物を紹介しました。ニスを刷毛むら無く塗るためにも、ニスを柔らかくすることは必要です。
天然のレジン(樹脂)、揮発性オイルやバルサム
品名 | 分類 | 特性・用途 |
VENETIAN TURPENTINE | Natural Resin(天然樹脂) | 落葉松に穴をあけて集められた透明で粘度のある液体。 アルコールやTupentine(テレピン油)に溶ける。 もろいニスの柔軟性やニスの光沢を増す樹脂としてアルコールニス、オイルニスの両者に使用される。 ニス全体の3-5%を越えないことが大切。 |
LINSEED OIL (亜麻仁油) |
揮発性オイル (乾性油) |
亜麻の種から抽出される。 ニス用オイルとして一般的に使用されている。 |
TURPENTINE (ターペンタイン) |
揮発性オイル | 針葉樹にキズを付けて樹液を集めて作られる。 透明で甘い香りのするオイル。 少量をアルコールニスに混ぜる事により柔軟性が増す。 ニスは改善されるが乾燥は遅くなる |
SPIKE LAVENDER OIL | 揮発性オイル | 南フランスの"Lavandula latifolia"の花を蒸留して抽出されたオイル。 安価な香水としても使用されている。 ニスに柔軟性と弾力性を増す働きがある。 乾燥は遅くなるが、アルコールニスの改善には好ましい。 |
ニスを薄めたり、刷毛を洗うためには、無水エタノール(99.5)(例:昭和化学)を使います。
ニス塗りの前にもう一つ大切な事は、木がニスを吸い込んでしまわないように、ゼラチンパウダーを 水で溶かした、いわゆるニカワ水を木肌に塗って目止めを行う事です。
また、木肌を着色するために液状のステイン(Altbeize 422:赤)又は(421:透明)をスポンジ又は刷毛で塗る事も有ります。このステインは陽の光の当たる長さで着色が濃く成ります。このステインは有毒です。これが私です。(写真は1995年頃です)
ニス塗りのハケにニスをふくませ、ビンの縁で良くしごいてからニスを塗ります。 ニスのハケは途中で止めないで一気に端まで引いて行くとムラにならずに塗れます。
くれぐれも一気に厚く塗る事は避けなければなりません。ニスは何層にも回数を分けて塗りますが、前に塗ったニスが十分に乾燥してから次を塗ることが大切です(少なくとも1-2日は乾燥させます)。
凹凸が出来てしまった場合は、#600-#800程度の細かいサンドペーパーで凹凸を取ってから次のニスを塗る事が大切です。
ネックの部分は着色のニスは塗らず、最後に1-2層透明な上塗りニス(Uberzuglack)を塗ります。表面の光沢を更に付けたい場合は、布にポリッシュオイル(Polieroil Ia)を染み込ませ磨き粉のトリポリ(Tripel)(Tripoli)を付けて磨きます。
以上でニス塗りが完成しました。いよいよ部品を組み立てれば手作りチェロが完成します。
材料・表板・裏板 胴接着・ネック仕込み ニス塗り 部品組立・調整
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工房ミネハラ
Mineo Harada
Updated:2009/9/16
First Updated:2002/10/6