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ギターチューニングシステム 比較

Minehara Super Tune SystemTM

 MTS  TM

 
ミネハラ スーパーチューンシステム TM

 本場 アメリカでは、ギターの正確なピッチを得るため研究は数多く、特許も数多く出されており、Buzz Feiten EARVANA のように、既に商品化もされています。

 

そこで、 MTS  TM  と、
 

Buzz Feiten BFTS  EARVANA ECTS

システムを比較をして見ました。


チューニングシステムの基本となる理論 (考え方と適応範囲)

Buzz Feiten  BFTS  Buzz Feiten 日本語公式ページ

理論的な裏づけは、公表なし 実験的なアプローチのみと思われる。 特許も数回に亘り追加・補正している。

弦のケージ・張力及び弦高などを考慮していない

全弦とも一律にナット部を補正  (参考データはここ) (参考データはここ)

   ローポジションでのシャープは残る

ナット補正の不足は、#12フレットのピッチシフトでカバー  (参考データはここ)

   ハイポジションでのシャープは残る 
(参考データはここ)

   専用チューナーが必要

   エレキギターやエレキベースは簡単にサドル調整できるが、
   アコースティックギターやナイロン弦ギターは、正確な調整は、まず不可能。 
( Garrison の例 )

メインは、エレキギター のみ。

EARVANA  ECTS

理論的な裏づけは、公表なし 但し、三つのルール を示している  (参考データはここ)

  
The Pitch Rule
  
The Tension Rule
  
The String Mass Rule

弦毎にナット補正・・・これは、 MTS  と類似  但し、エレキギターの#4,#5,#6 巻線弦は 、ナット補正量がおかしい

ナット補正の不合理を、サドル補正でカバー

メインは、エレキギター のみ。  アコースティックギターは不完全  ナイロン弦ギター、エレキベースはない

 MTS   Minehara Tune System TM

エンジニヤリング ( 材料力学;Strength of Materials,機械工学;Mechanical Engineering ) に基づき、

  
弦の応力 (Stress) と ひずみ(Strain) による張力 (Tension) 変化に着目し、弦毎の

  
音程の狂い易さ を数値化 Ke (世界初)  (参考データはここ)

     (注) 応力 ( Stress ;Kg/mm*mm ) とは、 張力 ( Tension ;Kg )断面積で割った値

身近な例

太い弦と細い弦が、同じ張力で張られていた場合、太い弦の方は緊張感(Stress)が足らず、細い弦の方が緊張感(Stress)が大きい。

そこに、ほんの僅かな 外的ストレス が更に加わった場合、

常に緊張感を持っていた細い弦は、普段から芯が確りしているので、その程度の外的ストレス にはびくともしないけれど、

太い弦の方は、普段からのんびりして緊張感を持っていなかったので、その程度の僅かな
外的ストレス で 動揺してしまい、大きな影響を受けてしまう。・・・狂い易

この場合 外的ストレス とは、弦高に依って、弦が押されたストレスを感じることです。

音程の狂い は、張力の大小だけのファクターでは無く、弦の太さ(正確には芯線の太さ)と 弦高との関係で決まる。

 

人の場合でも、ストレス と言う言葉は普通に使われます。 ストレス とは、物の内部にどの位の強さの力が働いているかを見るための数値なのです。

人の場合で言えば、「ストレスが貯まって、遂に 切れた・・・」など、良く有ります。 この 切れた・・・と言う表現は、材料力学;Strength of Materials などで使われている、「切れる、壊れる・・・」と同じです。

 

耐震強度偽装問題で「耐震強度0.5」などと言われているものもそれと同じです。 地震が起こると、建物が揺れて ひずみ(Strain) が発生します。 その結果、建物の材料の内部には ストレス(Stress) が加わります。 材料には、これ以上のストレス(Stress) が加わわると、「切れる・壊れる」 と言う限界が有ります。 「耐震強度0.5」と言うのは、想定した揺れの半分の揺れで、「切れる・壊れる」 と言う限界のストレス(Stress) が加わってしまう建物なのです。

この様に、材料の内部に作用している力の強さ ストレス(Stress) と言うファクターを用いて、チューニングシステムを構築したのは、Minehara Tune System が 世界初 です。

 
 弦の張力と振動数の関係は、上図のようになっています。 この  振動数 f  がどれ位狂ってしまうか・・・ Δf は、下図のような計算から求まります。

 ヤング率 や、ひずみと応力 の関係は、

 こちらをご覧下さい

 この考え方を導入したことにより、弦毎の音程の狂い易さKe を数値化することに成功した。・・・Ke の値は、弦のゲージから容易に計算可能。

 (注) この図をクリックしてください。 エレキギターの #3弦 や #6弦 は、#1弦 に較べて、Ke の値が3倍近くも大きいことが分かります。 従って、#3弦 や #6弦 は、#1弦 に較べて3倍近く ナット部の補正 を必要とします。 だから、Buzz Feiten Shelf Nut  EARVANA Nut の考え方には、根本的な間違いが有ります。

弦のケージ・張力及び弦高など、全てのファクターを織り込ん で、予めナットとサドルの補正値を 計算可能 なシステムとした (世界初)

シミュレーション計算法を全て公表 (世界初)
   

これにより、  エレキギター/ベースアコースティックギター  ナイロン弦ギターウクレレマンドリン 他  あらゆる フレット楽器に対応可能

 MTS  の実力レベルは、セットアップ事例をご覧下さい。 こちらです。


チューニングシステム比較表 特に良い 良い・対応している やや不満足・やっても複雑 ×悪い・出来ない

   MTS EARVANA  ECTS Buzz Feiten  BFTS
弦毎の補正の精度 全て最適精度に可
  全弦・全ポジションが 平均律になる
エレキの#4,#4,#5 は補正が逆
  このデータはおかしい
近似的な補正・・・ピッチシフトが残る ×
Pre-Install 可否 オフセットナット・通常サドルで可 EARVANA Nut で可 ESP 通常形状ナットで可  Garrison
後付インストール 可否 オフセットナット・トリングピローで可 EARVANA Nut で可 Shelf Nut で可
エンドユーザー
  インストール 可否
ストリングピローで、容易に可 EARVANA Nut で可
  但し、ナット部の改造が必要
不可 ×
完全復元の可否 後付であれば、完全復元可 ナットの復元は困難 Shelf Nut を元に戻せば 可
インストール可能楽器 あらゆる フレット楽器 に可 メインは エレキギター のみ メインは エレキギター のみ
エレキギター
エレキベース 不明 但し、事例は見当たらない ×
アコースティックギター ナットが公表なし・・・不可と思われる
  但し、サドルは写真あり こちら
可 但し、Garrisonは不完全
ナイロン弦ギター 公表なし × 可 但し、事例は見当たらない ×
ウクレレ 公表なし × 公表なし ×
カポ使用時の音程精度 全く問題なし 音程精度が良くない分、再調弦は必要 ピッチシフトがあるため、再調弦は必要 ×
専用チューナー必要性 不要 不要 ×

 


以下 参考データ


EARVANA  ECTS

下の表は、EARVANA  ECTS  ホームページに掲載されている比較表


 


下の表は、EARVANA  ECTS  ホームページに掲載されている比較表



#4(D), #5(A), #6(E) の ピッチ誤差が 全て ゼロ と言うのは、信じがたい。 ナットの補正が逆転しているのだから、このデータは作り話としか思えない。


下の写真は、EARVANA  ECTS  ホームページに掲載されている アコースティックギター用サドル

これが、アコースティックギター用サドルとすると、 #1弦 と #2弦 の補正量が逆転していると考えられる。

従って、アコースティックギター に関しては、全く未完成・・・と考えられる。

少なくとも、アコースティックギター用 で有れば、下の、 Garrison  G-30 HG のような物が必要。


Buzz Feiten プリインストール Garrison  G-30 HG の実力

Garrison  G-30 HG As Is 状態の 音程精度

Fret

#1 #2 #3 #4 #5 #7 #9 #10 #12
#1 String 0 +1 +1 0 +1 +1 +2 +2 +4
#2 String +1 +2 +2 +1 +1 +1 +2 +3 +5
#3 String 0 +1 +1 0 0 0 0 0 +1
#4 String +2 +2 +3 +4 +5 +5 +4 +3 +6
#5 String +2 +2 +2 0 0 +2 +5 +5 +9
#6 String +2 +2 +3 +4 +3 +2 +1 +1 +10

上のデータは、Buzz Feiten プリインストール済 と言うスペックのギターであるが、全く、その精度は維持されていない。

ハイポジションでのピッチシフトの値が違っているのは、プラスティック成型品のサドルの 第12フレットのピッチシフトがなされ無いためなので、その適正値を 工房ミネハラ   MTS  TM の解析手法にてシミュレーションした。

その結果は、下記のような値になった。


 
弦の張力 (Tension)

 
応力 (Stress)

 
Ke

  工房ミネハラ   MTS  TM の解析手法では、各弦の張力 (Tension) 、応力 (Stress) などを計算し、

その値に基づいて、
弦のゲージ・・・特に、芯線の太さや、そこに働いている力によって、

音程の狂う程度を決める数値
Ke を、弦毎に計算する。(上の右端のグラフ・・・図中の番号は、弦No.)

その数値に基づいて、各弦に対応して、最適なサドルの補正量を計算 する。

左のグラフは、ギターに彫られているサドル溝に嵌めこまれているサドルの厚さに対して、

どの位置に弦を載せれば良いか・・・を計算した結果で、自動的に表示されるグラフ。

弦ごとのKe の値や、その他のファクターを入力することによって、サドルの位置と形状を自動的に計算して表示しますので、これに従ってサドルを製作して、実際のギターに装着します。
因みに、縦軸座標 "0"の位置が、スケールレングスの位置で、それより下の
ΔLの値が、各弦のサドル補正量を示しています。

工房ミネハラ   MTS  TM では、このような解析システムを使って、試行錯誤のカットアンドトライではなく、理論的な裏づけをもってサドルをインストールします。

それによって、狙った通りの正確な音律を設定できます。
 


計算結果は、上図のようになりました。

 

 太い、緑色の折れ線は、下の写真の、今までのサドルに弦の載っている位置 (弦の長さ) を示しています。

2弦以外は、サドルの先端部に弦が載っています。


Garrison
 G-30 HG
As Is サドル

それに対して、計算結果の適正値は、

 太い、橙色の折れ線に示されるように、いずれも、サドルの位置を少し遠くして、弦の長さを長くする必要がある・・・と言 う結果が得られた。

特に、6弦などは、相当にずらす必要がある・・・と言っています。

この計算結果に基づいて、新たにサドルを作ってみました。


工房ミネハラ 製作 サドル

結果はこうなりました。

Garrison  G-30 HG 工房ミネハラ 製作 サドル による 音程精度

Fret

#1 #2 #3 #4 #5 #7 #9 #10 #12
#1 String 0 0 0 0 0 0 0 0 +1
#2 String +1 +1 +1 0 0 0 0 0 0
#3 String +1 +1 +1 +1 0 0 +1 +1 +2
#4 String 0 0 +1 +1 +2 +2 +2 +2 +3
#5 String +1 +1 +1 0 +1 +1 +3 +4 +5
#6 String +3 +3 +4 +4 +3 +2 -1 -1 -1

白抜け部が、チューニングテーブル(表)による ピッチシフト

上の写真のような オフセットサドル TM で、各弦に対して、最適なサドル補正位置を設定することによって、

下記の 
スチール弦アコースティックギター の、第12フレットのピッチシフ が、ピッタリ 合いました。

と言う事は、Garrison では、Buzz Feiten プリインストール済 と謳っているが、

ナットだけは Shelf Nut に変えていても、サドルには何ら注意を払っていないことが分かった。

ご覧のように、5弦、6弦 は、サドルの弦の載る位置が、ブリッジピンに近付いて、今までのブリッジピンの位置では弦を通すことが出来なかったため、

思い切って、ブリッジピンの穴を埋めて、新たに穴をあけ直しました。


 MTS  オフセットサドル TM


以上で、Garrison  G-30 HG の手直しは完了しましたが、

その結果は、下記のシミュレーションのピッチの値を、ほぼ完璧に再現できました。

完全に調整すれば、結構バランスは良いものでした。

 


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ギターの力学 ご覧下さい


このページに掲載した Buzz Feiten Tuning System (R) のデータは、公開されている特許明細書の記載から引用したものであり、現在、市販されているBuzz Feiten Tuning System (R) のデータとは限りませんので、ご承知下さい。

(C) Copyright このページで掲載しているデータの無断転載 ・公開等はお断りします。


工房ミネハラ
Mineo Harada

Updated:2010/12/8

First Updated:2004/10/20